コラム・ 「葛西・雷(いかづち)・の伝統文化で感じたこと」

 私の住んでいる江戸川区の葛西・雷(いかづち)では、江戸時代からの伝統文化が残っています。

 その一つに大般若という祭りがあります。男の人が女装をして、大般若経を担いで雷(いかづち)の町の中を無病息災を祈り駆け巡る祭りです。家々では大般若の祭りの人が来るのを、家の前で待っています。先頭の人がお布施を受け取ると参加者で手締めをしてお礼をします。大般若の祭りは地域に根付いていますので私は近所の方々と一緒にわくわくしながらその祭りの人が来るのを待っていました。1年に1回の楽しみでも有りました。

 雷(いかづち)では、昔は7才になると青年団に所属し、27才くらいになると世話人(10人)になり祭りを取り仕切っていました。世話人は4軒の「旦那さま」が掛け合って祭りの費用を出してもらい、その伝統はいまでも形を変えて引き継がれています。祭りの当日は、庭でまかないの酒肴を用意してくれます。私はそれを楽しみにしていて、適度に酔って楽しく過ごしたい想い出があります。

 ちなみに4軒の「旦那さま」とは、須賀さん(キムドン)・荒井さん(カヘイジ)・斎藤さん(タイム)・森さん(モリジン) であり屋号でよばれています。

 他に「おしゃらく」という芸能(歌と踊り)があります。女の人が長襦袢を着て、三味線・鉦・太鼓と歌に合わせて踊ります。江戸時代から地域で歌い踊りつがれた芸能です。時代劇に出てきそうな古風な芸能ですが私はこれも大好きです。

 藤本秀康さんが50年前に葛西・雷(いかづち)にあった「おしゃらく」に出会い、残していこうと保存会を立ち上げて現在に至っています。私と同じように感激されたのがその動機ではないかと勝手に推察しています。

 毎月一回雷(いかづち)の会館で地元の人を集めて踊りの稽古をしています。このまま消滅してはならぬと映像と楽譜を本にして残しました。図書館などに寄贈したので見ることができます。興味のある方は是非一読を。

  葛西・雷(いかづち)・は江戸の東の外れに位置していてその先は海です。ですから江戸の文化がこの地に吹き溜まったのではないかと私は想像しています。

 葛西・雷(いかづち)の地には今でもこのような伝統文化が残されていて、受け継がれているのを誇りに思っています。

 葛西について子供らに興味を持ってもらいたいと小学校に行って「葛西の特別授業」を人生大学のボランティアの人たちと行い、喜ばれているようです。残された伝統文化を何とか伝えていきたいとの思いを実践できるこの「特別授業」を私は充実感と共に楽しんで行っています。 

 

  (葛西の伝統文化好きオヤジ)